コラム

経験ゼロから途上国でプロジェクトをつくる方法①【構想・計画編】

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こんにちは、さもあき(@gakisan2)です。

プロフィールのページでも簡単に紹介していますが、私は現在、NGOルマナイサモアに所属しており、サモアの算数教育プロジェクトに従事しています。

しかし、このプロジェクト自体は2020年7月から開始予定でしたが、コロナの影響でまだスタートできておらず、私自身も日本で待機中です。

さて、このプロジェクトについてですが、あまりこれまで詳細を明かしてきませんでした。(とくに深い理由があったわけではありませんが)

しかしプロジェクト再開までまだ時間がかかりそうなこともあり、これからはこのブログで実際にプロジェクトを始めるまでの過程や現在の準備の様子もお伝えしていくことにしました。

とくに、以下のような方に参考になるような記事の投稿を心がけていきたいと思います。

  • NGOがどんな活動をしているか知りたい方
  • 将来、国際協力の仕事がしたい方
  • 国際協力の団体設立に興味がある方
  • プロジェクトがどのように計画・実行・評価されるか知りたい方

ということで今回は、どのようにしてプロジェクトの基礎を作ったのかについてお話ししていきます。

問題の明確化 -何を解決したいのか-

プロジェクトを作るまでの準備として、まず必要なのが問題の明確化です。

そもそも個人として、そして団体として、どのような事に問題意識があるのかが出発点になると思います。

問題意識を持ったきっかけをふりかえる

まず、自分が問題意識を持つきっかけとなった原体験をふりかえってみましょう。

私の場合は、青年海外協力隊の活動がきっかけで、サモアの算数・数学教育に問題意識を持ちました。

サモアでは生徒たちが数学に苦手意識を持っており、試験などをしても数学がダントツで平均点が低い状況でした。

さらに衝撃だったのが、数学を教える教師も数学が苦手だということ。

正確には本人は苦手だとは思っていませんが(だから根が深い)、全くと言っていいほど分かっていない教師が算数や数学を指導していることが多かったんです。

ただ、教師も生徒も数学が苦手になった原因は同じ原因です。

それは幼少期(小学校)の算数教育が十分ではなかったからです。

教師の質もそうですが、親の教育への関心が薄いこと、家庭学習の習慣がないこと、勉強するための教科書など教材の不足、など様々な要因があります。

そして、幼少期に築くべき算数の基礎概念という土台がないところに、その後いくら積み上げようとしても難しいという状況が、何世代にもわたって連鎖していたのです。

ロジックツリーで整理する

このように、原体験をふりかえると、一つの問題に対して、これも原因だ、だからこういう問題が生じる、などと次々に広がっていきます。

しかし、それだけでは問題の構造や本質が見えにくくなります。

そこで次に、ロジックツリーを使って自分が持っている問題意識を整理していきます。

ロジックツリーとは、一つの問題からその原因を考え、次にその原因が起こった原因は?というように次々と因果関係で結び、できた樹形図のことです。

具体例として、私のプロジェクト計画時に作ったロジックツリーを見てみましょう。

このように、一番左にある「サモアの子どもの算数の学力が低い」という問題が出発点(=一番解決したいこと)となります。

つぎに、その問題の原因を挙げ、樹形図のような形で結んでいき、それを繰り返していくことで一つ一つの問題と原因が深堀りされていきます。

ポイントはMECEと複数の視点

ここで、ロジカルツリーを作るポイントが3つあります。

  1. MECEを意識する
  2. 複数人で作る
  3. 行き詰ったら、反対の意味にしてみる

まず、1のMECE(ミーシー)とは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略で「モレなく、ダブりなく」という意味です。

例えば、

このように、1つの問題の原因を考えるときに、他に原因はないか(モレなく)、複数の原因に重なりはないか(ダブりなく)を意識してください。

このMECE的な考え方をしやすくするために、2と3があります。

2の複数人で行うことで様々な視点から考えることができ、MECEを意識しやすくなります。

とくに、一緒に行うメンバーのバックグラウンドや立場は、異なる方が効果的と言えるでしょう。

3については、通常「ある問題に対してその原因は?」というトップダウンの方向でロジックツリーを作っていきますが、行き詰ったときは反対の意味にして逆から考えてみてください。

例えば、

「安くて、配置が良くて、接客が増えれば、Aの商品は売れるか?」と考えたとき、「いや広告を増やすのも必要だ!」と新たな原因が見つかることがあります。

こうして視点を変えてボトムアップで考えることでMECEをより意識してロジックツリーを作ることができます。

また、ロジックツリーに完成は無いと思っています。プロジェクトが進んでいく中で、新たな原因が出てきたり、原因変わっていくこともあります。

ぜひ定期的に見直しをしていくことをおすすめします。

手段の決定 -どう解決するのか-

さて、ロジックツリーがある程度完成した後は、実際にどの問題をプロジェクトの中心に据えるのかを考えていく必要があります。

始めに設定した問題がどのくらい大きい規模なのかにもよるのですが、必ずしもロジックツリーのスタートの問題(一番左)がプロジェクトの目標になるとは限りません。

なぜなら、支援団体側が持っている知識・技術(強み)、資金規模、プロジェクトに関わる人数など、様々な条件によるからです。

自分(団体)が持つ強みを再確認

プロジェクトを行う上で、自分たちにどのような専門性、経験があるかを確認し、その強みが最大限生かせる方法や問題を選択する必要があります。

私の強みを具体例に見ていきます。

  • 算数・数学教育の専門性がある
  • 日本とサモアで教員をした経験がある
  • サモアの教育省・教員とのネットワークを持っている
  • 数学の教員としての指導経験がある
  • サモアで教員研修を行うノウハウがある

こうしてみると、やはりサモアでの経験やつながりは私にとって最大の武器だと思っています。

活動資金の調達方法を考えよう

どのくらいの予算規模でプロジェクトを運営できるのかも大きな要因になります。

次に、どのように活動資金を調達するかを考えていきます。

一般的に、NGOが活動資金を獲得する方法は5つあります。

  1. 会費
  2. 寄付金
  3. 事業による収入
  4. 補助金・助成金
  5. 受託事業

※当ブログの過去記事「NGO・NPOが活動資金を得る方法を解説【補助金・助成金制度も紹介】」から引用

私の所属しているルマナイサモアは、まだ設立してから間もない若い団体でした。

上記の5つで見ると、①会費は現在会員数は役員を含め7名(2020年7月4日現在)のため、会費としては微々たるもの、③や⑤などのの事業収入もありません。

したがって②の寄付金を募るか、④の補助金・助成金を得るかの2択でした。

ただ、知名度も実績もない団体が寄付金を集めるのは難しいため、我々が選択したのは④の補助金・助成金でした。

そこで採択を受けたのが「JICA 草の根技術協力事業」でした。

これにより、1000万円(上限)の活動資金を獲得できました。

「JICA 草の根技術協力事業」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をどうぞ。

【NGOの登竜門】JICA草の根技術協力事業とは|応募から実施までのプロセスを解説

プロジェクトで焦点を当てる問題を絞ろう

さて、自分たちの強み、そして活動資金を踏まえ、プロジェクトで焦点を当てる問題を絞っていきます。

ここでロジックツリーが再び登場します。

我々の場合、強みを生かすことができ、より即効性が高く、広い受益者にインパクトを与えることができるという点で、「教員の指導力不足」という問題に焦点を当てることにしました。

上の図で赤で囲まれた部分が、本プロジェクトでカバーする範囲となります。

つまり、

上位目標:「教員の授業の質を向上させる」

プロジェクト目標:「教員の授業を生徒中心型の授業にする」

解決方法(アウトプット):「教員研修の実施」

となるわけです。

さいごに

いかがだったでしょうか?

今回はプロジェクトをつくるための構想・計画段階でのプロセスを解説しました。

ここから、プロジェクトをさらに実施可能なものにブラッシュアップしていく必要があります。

次回は、「経験ゼロから途上国でプロジェクトをつくる方法②【デザイン・練り上げ編】」と題して、どのようにプロジェクトを具体化していく過程をお話しします。

ちなみに、私にとっても団体にとっても今回のサモア算数教育プロジェクトは、初めて自分たちで計画し、実行するプロジェクトになります。

したがって、正直これが正解かどうかも分かりません。

それでもこのブログを見てくださっているアナタと情報を共有しながら、私も一緒に成長できればと思っています。

これからもよろしくお願いします!

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国際協力NGOルマナイサモア所属
サモアを愛する国際協力師
2020年7月よりサモアで算数・数学教育の新たなプロジェクトをスタート予定。「教育で人と世界をつなぐ」をモットーにサモアと日本の学校をつなぐプロジェクト進行中。ライターとして教育・国際協力の記事も執筆。

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