コラム

コロナ禍で見えたこれからのオンライン授業の課題

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日本では、新型コロナウイルスの影響で学校が閉鎖されてから早くも2か月以上が経過しましたね。

これをきっかけにオンライン教育オンライン授業が注目を浴びることになりました。

英会話や学習系のコンテンツを扱っていた企業は軒並み需要が高まっていることが、テレビのCMへの登場頻度からも分かります。

しかし、学校現場でのオンライン授業化は動きが鈍く、なかなか対応できていないのが現実です。

いま、学校現場で何が起こっていて、オンライン授業のメリット、そして課題はどのようなものが見えてきたのか。そしてこれからどのような方向に向かっていくのか。。

個人的に思ったことを綴ってみたいと思います。

教育現場の現状

4月15日時点での文科省の調査によると、1213自治体のうち、デジタル教材を使うのは29%で、双方向型のオンライン指導をするのはわずか5%という結果でした。

先生たちにとっても、「そもそも授業は対面主義!」という考えや、

「やりたくても知識や技術が足りない!」という悩みを抱えている先生も多いのだと思います。

しかし実際に、様々なツールを活用して授業を再開している学校、先生たちも多く聞きます。

私の周りで先生方が実際に使用されているツールとしては、

Zoom、Skype、Google Meet、Microsoft Teams、Line、Youtubeといったところでしょうか。

ただ、皆さんの実践を通して感じたのは、「授業の目的に合わせて適切なツールやその機能を使い分けないと授業の質が落ちてしまうのでは?」ということでした。

オンライン授業の目的と形態

オンライン授業は大きく2種類の授業形態に分けることが出来ます。

  • 一方向型授業
    教師が生徒に向けて一方的に説明し、話し続けている。生徒はそれをメモやノートをとりながら聞く。主にインプットを目的とした授業
  • 双方向型授業
    講師と生徒がやり取りをしながら進められる。主に生徒のアウトプットを目的としたもので、インプットしたものについての理解をさらに深めたり、疑問点を解消することを目的とした授業

Youtubeなどはどちらかというと一方向型授業に分類されるが、他のツールの場合、教師がどのように活用しているかによって変わって来るでしょう。

例えば、Zoomを使ったとしても、生徒側の声はミュート設定にしていたり、チャットOFFにしていれば一方向型となります。

さて、ここで思うのは、学校現場にいる先生が求められているものがどちらなのかということ。

もちろん、子どもによっても求めているスタイルは異なりますが、

近年、文科省が求めている授業という観点から見ると、アクティブラーニング(主体的で対話的な深い学び)を推進しているため、双方向型授業ということになります。

しかし、これをオンラインで実践するには多くの課題があるのです。

オンライン授業の課題

複数で同時に対話することが難しい

オンライン授業の経験はなくても、オンライン飲み会や女子会をやったことがある人は分かると思いますが、

オンラインの環境で多くの人が同時に会話するのは、タイミングが難しく、会話のテンポも悪くなっちゃいますよね。

しかも、同時に2つ以上のグループで話し合うのは、無理です。

従って、こういった対話のある授業を効果的に行うには、一度に参加する生徒の数を少なくする必要があります。

教師にオンライン授業に必要な知識・技術が足りない

また、生徒同士に対話をさせるうえで、うまく会話の流れを導くようなファシリテーター的な役割も教師には求められます。

しかし、こういった役割ができる教師の数も決して多くないのが現状のため、今後オンライン授業に必要なスキルを学ぶ研修機会が必要になります。

評価方法が分からない

これまで教師にとって授業を評価する際の規準となっていたものが、

 ① 関心・意欲・態度
 ② 思考・判断・表現
 ③ 技能
 ④ 知識・理解

でした。これらは基本的には授業内の子どもの様子を観察することで評価してきました。

しかし、オンライン授業では新たな評価規準、または評価方法を考える必要が出てきます。(テストはできても関心意欲なんかは難しい

他にも現場で実際にオンライン授業をしている先生方は、もっと多くの課題に直面していると思います。(もし実際に現場で使われている方で、お時間がありましたらtwitterやFBで現状を教えていただけるとありがたいです!)

もちろん今後ツールの進化はものすごいスピードで変化していくと思いますが、現時点での状況で、これまでの対面で行う授業を同じ質の授業を行うことはかなり困難と言えるのではないでしょうか。

教育の多様化への期待

ここまでつらつらとネガティブな部分を書いてきましたが、ポジティブな面もあります。

それは、教育の多様化です。

これまでは誰もが全員一律で学校に通うのが当たり前とされてきました。

しかし生徒によっては「オンラインの方がいい!」「通信制の方が自分の力をもっと発揮できる!」という子どももたくさんいます。

これまでは画一的だった教育に、オンラインというオプションが増えることでさらに多様化した教育の未来が作れるのではないでしょうか。

今までの「学校に通って勉強すること」が当たり前でなくなることで、救われる子ども、もっと本来の力を発揮できる子がいる

様々なプロセスを認めることこそが教育の本質だと私は思います。

さいごに

さいごにサモアのことについても触れさせてください。

サモアではコロナ禍において、学校封鎖をいち早く行い、すぐにオンラインでの授業をスタートしました。

その方法は、テレビ局に教育省の職員が出演して毎日決まった時間に授業するというもの。

先生ではなく教育省の人が授業したり、メディア媒体がテレビだったりと、バタバタ感は否めませんが、

状況にすぐに適応し、その時の最大限のパフォーマンスをすぐに発揮できるサモア人はやっぱりすごいと感心しました。

と同時に、コロナ後における支援のあり方についてもう一度見直さないといけないな、と思っております。

アフターコロナの教育支援、はたして。。

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さもあき

国際協力NGOルマナイサモア所属
サモアを愛する国際協力師
2020年7月よりサモアで算数・数学教育の新たなプロジェクトをスタート予定。「教育で人と世界をつなぐ」をモットーにサモアと日本の学校をつなぐプロジェクト進行中。ライターとして教育・国際協力の記事も執筆。

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