この記事では、次のような悩みや疑問を解決します。
- プラスチックゴミって何が問題かよく知らない。
- プラスチックゴミによって、私たちの生活にどのような影響があるか知りたい
- プラスチックゴミに対する世界の取り組みはどうなっているの?
先日、このような衝撃的なニュースを目にしました。
「ポイ捨てされる「コロナごみ」人間を救った「マスク」がイルカの命を奪い、地中海を傷つける」(引用:クーリエ・ジャポン)
コロナによるマスク増産で、新たなゴミ問題が起こっているという内容でした。
みなさんがつけている不繊維マスクは、ポリプロピレンやポリエステルといった化学繊維でできていて、いわゆる「マイクロプラスチック」と呼ばれるプラスチック製品になります。
つまり、ポイ捨てすれば自然に還るまでに何百年もかかるゴミです。
このプラスチックゴミによってとくに影響を受けるのが、サモアのような小さな島国なんです。
そんなところに本日、サモア政府からタイムリーな発表が!
ということで、本日の記事は、このプラスチックゴミについて扱いたいと思います。
この記事では、
- プラスチックゴミとは何か
- プラスチックゴミの何が問題か
- プラスチックゴミとサモア
についてお話していきます。
環境問題についてもっと知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
環境問題の指標「エコロジカル・フットプリント」とは【あなたの生活は地球〇個分】
プラスチックゴミとは
まずは、プラスチックゴミについての基礎知識をおさらいします。
プラスチックの原料は石油
プラスチックは石油を原料にして作られていたのを知っていましたか?
そのプラスチックが初めて生産されたのが約20年前です。
プラスチックの特徴である軽量性や耐久性は、様々な製品に活用され、現在世界で生産されるプラスチックはなんと年間4億トンにもなります。
こんなものもプラスチック
プラスチックにはいくつか種類があります。
以下で代表的なプラスチックの種類と、それによってつくられている製品の例を紹介します。
- ポリエチレン(PE)
洗剤のボトル、バケツ、レジ袋、ラップ、など - ポリプロピレン(PP)
ストロー、ペットボトルキャップ、文具、医療器具など - ポリ塩化ビニル(PVC)
クレジットカード、ホース、水道管、合成皮革など - ポリスチレン(PS)
ハンガー、食用品トレイ、プリンターなど - ポリエチレンテレフタレート(PET)
ペットボトル、卵パック、包装フィルム、衣類の繊維など
日本はプラスチックゴミ排出量で世界2位
次にプラスチックゴミの世界の現状を見ていきましょう。
- プラスチックの年間廃棄量
1位 中国 約4000万トン
2位 EU 約1600万トン
3位 米国 約1500万トン
4位 インド 約800万トン
5位 日本 約500万トン
- 国民一人当たりのプラスチックの年間廃棄量
1位 米国 約45kg
2位 日本 約32kg
3位 EU 約30kg
4位 中国 約29kg
5位 インド 約5kg
日本は、総廃棄量も多いですが、国民一人当たりのプラゴミ廃棄量は世界2位なんです。
プラスチックゴミの問題点
では、プラスチックゴミが近年、なぜこれほど問題視されているのでしょうか?
その理由は大きく以下の3つの問題点があると言われています。
- 石油という限りある化石資源を使っている
- 焼却処分される際に発生する温室効果ガス
- 自然生態系への悪影響(マイクロプラスチック)
一つ一つ詳しく解説していきます。
プラスチックは非持続可能
前章でも述べた通り、プラスチックは石油という化石燃料でできています。
しかし、ご存知のように、石油はいつまでも掘れるものではなく、いつかはなくなる資源と言われています。
そのため、持続可能ではない原料に頼って製品を作り続ける事は不可能なため、代わりになるものを考えないければいけばいという問題があります。
地球温暖化の原因に
また、現在プラスチックは焼却処分されています。
焼却で発生するCO2やメタンガスは、温室効果ガスと呼ばれ、地球温暖化をすすめてしまう原因となる物質であり、
例えば近年発生しているゲリラ豪雨や、北極の海氷面積の減少、極端な異常気象の頻発も、地球温暖化が原因と言われています。
マイクロプラスチックによる生態系への影響
プラスチックゴミの中でも、特に問題視されているのがマイクロプラスチックの存在です。
マイクロプラスチックとは、5㎜以下のサイズになったプラスチックのことを指します。
マイクロプラスチックの代表的なものに、洗顔料や歯磨き粉のスクラブなどに利用するために製造されたマイクロビーズなどがあります。
これらが排水溝を通じて自然環境中に流出すれば回収はほぼ不可能です。
また、マイクロプラスチックには製造されたものだけではありません。
ポイ捨てやゴミ処理の過程で外に出てしまったものが、雨で川に流され、その中で岩や砂の力で削られ、細かくなり、海に流れ出る場合もあります。
そしてこのマイクロプラスチックを魚などの海の生き物がエサと誤って食べてしまい、生態系に影響が出たり、
その魚を食べる鳥や私たち人間への健康被害も懸念されています。
WWF(世界自然保護基金)によると、
「1週間に1人平均5gのプラスチックを体内に取り込んでいるとみられる」
という衝撃的な報告もなされています。
今のところ、健康被害は報告されていませんが、もともと食用で作られているわけではないプラスチックを食べて、健康に良い訳ないですよね。。
日本はゴミを途上国に輸出している
これについては、ほとんど報道されていないと思うのですが、日本はプラスチックゴミを開発途上国に輸出しています。
2019年の日本の廃プラスチック総輸出量 89.8万トン
【輸出先】
マレーシア 26.2万トン(29.1%)
台 湾 15.2万トン(16.9%)
ベトナム 11.7万トン(13.0%)
タ イ 10.2万トン(11.4%)
韓 国 8.9万トン(9.9%)
理由は人件費の削減です。
人件費の安い海外に輸出することでコストを抑えるのが狙いですが、当然この輸送には燃料が必要であり、それによってCO2を排出しています。
何より、自分のところで出たゴミをよその家に捨てるって、モラル的にどうなんでしょうか?
ただ、これに関しては、世界的に禁止にする流れになってきているので、今後の動向に注目しましょう。
サモアで始まった脱・プラスチックゴミ
冒頭でもお話しましたが、プラスチックゴミによって一番あおりを食らうのが開発途上国であり、サモアのような南太平洋の島国なのです。
サモアへの影響
サモア国内で出るゴミの量はは、プラスチックの登場によって急激に増加しました。
しかも国土が限られているサモアではゴミを埋め立てるための広大な最終処分場を用意することが出来ません。
また、周りを太平洋で囲まれている島国にとって、漂流して流れ着くゴミはアジアや北米・南米だけでなく、ヨーロッパからも来ていると言われています。
さらには、温暖化による海面上昇で国土が減少したり、サンゴの減少によって生態系が変化したりと、真っ先に被害をこうむるのもやはりオセアニアの島国です。
そして、それが自分たちが出したゴミだけではなく、他の国が出したゴミによって起こっているのですから。。
世界に先駆けて脱・プラスチックを法律に
サモア政府が脱・プラスチックに向けて動き出したのは昨年、2019年の1月でした。
まずは手始めに、プラスチック製の買い物袋や包装、ストローを禁止にしました。
そして昨日、サモア政府は2020年6月30日より、プラスチック製の皿、ランチボックス、コップの使用を禁止を発表しました。(輸入も禁止)
しかも、個人で使っているのが見つかった場合、5,000タラ(約20万円)の罰金に加え、6カ月の刑務所行き。これが企業や商店の場合、罰金は2倍の10,000タラ(約40万円)。
ランチボックス禁止はインパクト大!
とくに今回禁止されたプラスチック製のランチボックス(写真下)。
これは、サモアでは食堂などのお店はもちろん、イベントやミーティング、教会などでも、食事が提供されるときは必ずと言っていいほど使われている、サモアの近代文化のようなアイテムなんです。
これを禁止にするというのは、かなりインパクトがありそうです。
世界最強のエコ食器「マイロ mailo」
果たして、このランチボックスが禁止された後は、サモアではどうやって食事が提供されるのでしょうか?
私の予想は、原点回帰ということで、サモアで伝統的に使われてきた「マイロ mailo」が復活するのではないかと睨んでいます。
これはサモアで伝統的な皿で、バナナの葉で器用に編み込んで作った食器なんです。
これならめちゃくちゃエコですよね!
さいごに
いかがだったでしょうか?
今回はプラスチックゴミ問題について、またサモアの脱・プラスチックの取り組みについて紹介しました。
最後に紹介したバナナの葉で出来た皿「マイロ」だけでなく、
サモアで伝統的に使われてきたものは、どれもエコなものが多いんです。
文明の発展によって自分たちの住処を傷つけ続けてきた先進国。
先進国が途上国に学ぶべき時代がすぐそこまで来てるのかもしれません。