2018年9月に青年海外協力隊制度が大きく変わったことをご存知ですか?
私自身、旧制度で青年海外協力隊としてサモアに派遣されたのですが、
実は、2018年の9月に新制度の青年海外協力隊としても派遣されていました(短期ですが)。
実は私は新制度になって初めての派遣組でした!
総称が「JICA海外協力隊」に変わっただけでなく、制度の面でもいくつか変更されています。
今回は、新旧どちらの制度も経験した筆者が、新制度における変更点を解説していきます。
応募区分と名称
先ほど、総称が「JICA海外協力隊」に変わったとお伝えしましたが、
応募区分によってさらに6種類の呼び方に分かれることになりました。
まず、一般案件とシニア案件に区別され、さらに年齢と派遣地域によって6種類に分かれます。
中南米の日系社会への派遣の場合、名称の頭に「日系社会」がつくのは従来通りですが、
大きく変わったのは「シニア」という名称。
旧制度では、「シニア」=「40歳~69歳」と年齢を指していたのに対し、
新制度では、「シニア」=「専門性が求められる」という解釈に変わっています。
あとは「青年」と呼ばれる年齢も40歳→45歳となりましたね。
旅費・手当などについて
旅費・手当など、つまり派遣に際して隊員が受け取れるお金についてです。
私が旧制度で派遣された2010年からこれまでも何度か変更があったようですが、
新制度では、隊員が受け取れる旅費・手当などは以下の通りとなります。
国内手当については、私の時代に比べるとかなり減額されていますが、
今回の改編では、とくにシニア年代にとって、かなり減額された印象です。
家族随伴制度
「旧制度」のシニア協力隊には、家族を任国に連れていける家族随伴制度がありましたが、
新制度からは、廃止となりました。
こちらも、シニア年代には逆風のようです。
任国外旅行制度
協力隊には、任国外旅行制度と言って、
活動が休暇中の時期を利用して、任国以外の国に旅行に行ってもよい制度(もちろん自腹)があるのですが、
旧制度では、渡航できる国が、任国周辺のJICAが指定した国のみに限られていましたが、
現在は、大幅に緩和されました。
渡航に際して危険がないような国であれば、基本的に全世界ほとんど行けるようになりました。(ただし年間20日以内)
こちらは、新制度のタイミングではなく、2019年10月から変更されたようです。
派遣時期
旧制度では、年間4回の派遣時期がありましたが、
新制度では、年に3回の派遣に変更になりました。
したがって、7月(8月)、12月、3月の3回となります。
現職参加促進制度
旧制度では、現職派遣制度としてJICAが企業側に人件費を補てんしていました。
しかし、旧制度が廃止され、新たに現職参加促進制度となりました。
以下、JICAの公式HPからの情報です。
2018年度秋募集合格者から現職参加促進制度を適用します。現職参加をする隊員の所属先に対し、所属先とJICAとの間で覚書を締結することを前提に、所属先からの申請に基づき、雇用を継続するために必要な経費の一部をお支払いします。
出典:JICA海外協力隊HPより
※2017年秋の行政事業レビューにおいて、外務省事業であるODA(ボランティアの在り方)が対象となり、評価者から「ボランティアの人件費補てんの抜本的見直し」の指摘がありました。この指摘を受け、 人件費補てん制度は、2018年度春募集以降廃止となりました。
とのこと。
つまり、実質所属先に支払われるお金は減額されたことになります。
したがって、派遣中の所属先からの給与については、各所属先によって対応が異なるので注意が必要です。
現職制度を検討している方は、必ず応募前に所属先に確認してください。
一方で、現職教員特別参加制度については今まで通りのようです。
さいごに
新・青年海外協力隊制度は、待遇面などをみると以前よりもスケールダウンした印象がありのは否めませんが、
それでも2年間という途上国での貴重な時間は何物にも代えがたい経験となります。
私にとっても、青年海外協力隊の参加が自分の考え方や価値観に大きな影響を与え、
人生を自分らしく生きるためのきっかけとなりました。
現在(2020年5月)協力隊に興味を持っている人にとっては、
コロナの影響でなかなか見通しが立たず、もどかしい気持ちになっていると思いますが、
きっといつか道は開けるはずです。
その時が来たら、ぜひ思い切って一歩踏み出してください。
応援してます!