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環境問題の指標「エコロジカル・フットプリント」とは【あなたの生活は地球〇個分】

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この記事は、以下のような悩みや疑問を解決します。

  • 地球の環境問題がどのくらい深刻なのか具体的にはよく分からない
  • エコロジカル・フットプリントとは何か知りたい
  • 環境問題を解決するために自分ができることを知りたい

1カ月前に書いたコラム記事「コロナが示した地球温暖化対策の最適解」(←クリックで見れます)で、次のような話題に触れました。

ただ、実際どのくらい環境問題が進んでいるのか、あまりピンとくるような指標を見たことがないですよね?

エコロジカル・フットプリントは、誰が見ても分かるようにできた環境問題の新たな指標です。

例えば、このエコロジカル・フットプリントによると、

地球に住むすべての人が日本人と同じ暮らしをすると、地球2.8個分の資源が必要になります。

本来誰もが地球1個分に収まる生活をしなければ今の生活は持続できないにもかかわらず、すでにそれを超えた生活を私たちはしており、地球に負荷をかけているのです。

この記事では、

  • エコロジカル・フットプリントの意味
  • 日本のエコロジカル・フットプリントの現状
  • エコロジカル・フットプリントを減らすための方法

について解説していきます。

\環境問題についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください/

「エシカル消費」とは |意味、具体例、フェアトレードとの違いなどを解説

環境問題を「見える化」するツール

まずは、エコロジカル・フットプリントについて説明します。

エコロジカル・フットプリントとは

エコロジカル・フットプリント(以下、エコフット)とは、人の暮らしが環境に与える負荷を、本来の地球が持つ自然を再生する力や廃棄物を浄化するために必要な面積に置き換えて示した数値です。

つまり、私たちが普段の生活で利用する食物や資源を得るために、どのくらいの耕作地や牧草地、森林、海洋の面積を必要としているか、

そしてその過程で排出したCO2(二酸化炭素)を吸収するためにはどのくらいの森林面積が必要かなどを計測し、

「私たちが使っている資源を生み出すために、必要な土地」の規模を数値化しています。

また、「フットプリント Footprint」は「足跡」の意味。すなわち、私たちが踏みつけてしまっている地球の自然という意味もあるようです。

世界の現状

世界の国々のエコフットの数値を見てみましょう。

  • アメリカ→5.1ヘクタール
  • 日本→2.3ヘクタール
  • インド→0.4ヘクタール
  • 世界平均→1.8ヘクタール

これはその国の一人が生活するために必要な資源を生産するための面積です。

でも、まだピンときませんよね?

次に、もしその国と同じ生活を世界中の人がしたら、地球何個分の自然が必要になるのかを見てみましょう。

  • アメリカ→5個分
  • 日本→2.8個分
  • インド→0.7個分
  • 世界平均→1.7個分

アメリカや日本は何と地球2個分でも足りない数値です。

一方で、インドのような1個分を下回る国も多くあります。

つまり、アメリカや日本のように、使うべき面積(地球1個分)を超えてしまった分は、他の国の分でまかなっていることになるわけです。

現在の世界平均で見たエコフットは1.7個分。

この値は1980年代に地球1個分を超え、その数値は年々増加しています。

日本の原因の大部分は「家庭から排出されるCO2」

日本のエコフットの原因で一番大きいものがCO2の排出であり、エコフットの約7割は「家庭での消費」によるものだということが分かっています。

日本のエコフットの内訳

一人当たりのエコフットには、家庭での消費のほかに、政府のインフラ整備や工場なども含まれますが、その大部分は「家庭での消費」によるものです。

私たちの1日の生活による消費

実際に私たちの1日の生活を振り返ると、多くの消費活動が行われていることが下の図からも分かります。

日々の食事によって牧草地や農作地が消費されていたり、交通機関の利用によって電気やCO2が使われていたりと、

自分の生活がどのように地球環境とつながっているかを知ることは、エコフットの数値を減らすための大きな一歩と言えます。

都道府県別でみるとやはり東京都が1位

また、都道府県別でも見てみましょう。

あなたが住んでいる地域はどうでしたか?

東京都などの大都市圏の都道府県では「サービス業」による比率が高いこと、北海道など地方の都道府県では「住居・光熱費」の比率が高い傾向があります。

どこに住むかによってもエコフットの数値は抑えられるかもしれません。

私たちができること

では、限りある資源に対して私たちの生活を持続可能なものにするためには、具体的になにができるのでしょうか?

環境への負荷を減らす

まずは、私たちの生活の中で環境への負荷となりうるものを減らすことが、最優先となります。

中でもCO2削減は、ほんの少しの行動の変化で減らせる取り組みがいくつもあります。

いくつか具体例を挙げると、

  • エコバッグの利用
  • 自家用車ではなく公共交通機関の利用
  • 家庭ごみを減らす(ごみ処理でもCO2は発生)
  • こまめに電気を消す
  • 水を流しっぱなしにしない
  • 冷房や暖房の設定温度を極端にしない
  • 肉の消費を抑え野菜中心の食生活にする

他にもまだまだありますが、無理のない範囲で取り組んでみてはいかがでしょうか?

土地の生産性を高める

エコフットは、簡単に言うと「環境への負荷」を「地球の使える資源の量(バイオキャパシティ)」で割った数値です。

つまり、分子の環境負荷を減らすと同時に、分母である資源の量や質を上げることも、エコフットの数値を下げる方法の一つです。

具体的には、

  • サンゴを守る
  • 植樹・植林をする
  • 農薬の使用を抑える
  • 持続可能な原材料の調達
  • むやみに土地を開拓しない
  • 再生エネルギーの活用

これらは、個人だけでなく行政や政府が主導となって取り組んでいく必要があることです。

私たちが知り、伝える

そして、最後に何より、私たち自身が環境問題や持続可能なまちづくりに対して関心を持ち、正しい知識を得て、参画していく社会に変える必要があります。

なぜなら、こういった現状にしたのは私たちの行動であり、責任は私たちにあるからです。

使ったら元に戻す、取りすぎたら返してあげる、足りないなら分けてあげる、どれも当たり前のことですよね。

さいごに

いかがだったでしょうか?

今回は、環境問題の新たな指標「エコロジカル・フットプリント」について説明しました。

この数値自体は、あくまで単なる指標に過ぎません。

しかし、このままを続ければ間違いなく、誰かが犠牲になります。

そして、それはすでにもう始まっています。

これを食い止めるのは、国際機関でもなく、政府でもなく、私たちです。

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さもあき

国際協力NGOルマナイサモア所属
サモアを愛する国際協力師
2020年7月よりサモアで算数・数学教育の新たなプロジェクトをスタート予定。「教育で人と世界をつなぐ」をモットーにサモアと日本の学校をつなぐプロジェクト進行中。ライターとして教育・国際協力の記事も執筆。

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