サモア

【サモアで教師をして分かった】ここがヘンだよサモアの学校|教育制度や問題点も解説

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この記事は、以下のような悩みや疑問を解決します。

  • サモアの学校って日本とどう違うの?
  • サモアの教育制度が知りたい
  • 途上国の教育の現状と問題点が知りたい

こんにちは、イタガキ(@gakisan2)です。

私は以前、青年海外協力隊としてサモアの学校で2年間教員として活動していました。

また、現在もNGOという立場でサモアの教育に関わり続けています。

この話をすると、必ずと言っていいほど聞かれるのが「サモアの学校ってどんな感じなの?」という質問です。

サモアの学校は、いろんな意味で衝撃を受けたことがたくさんありました。

そのため、この質問をされると、テンションが上がってしまい、ついつい話し過ぎてしまいます。

それほどサモアの学校は、日本と異なる点がたくさんあり、その中には魅力的な特徴もたくさんあるんです。

今回は、そんな愛すべきサモアの学校の「ヘン」なところを紹介していきたいと思います。

この記事では、以下についてお話ししていきます。

  • サモアの教育制度
  • サモアの学校の特徴
  • サモアの教育の現状と問題点

\サモアについてもっと知りたい方は、こちらの記事もご覧ください/

【世界文化遺産級!?】サモアの伝統工芸「シアポ」の秘密に迫る

サモアの教育制度

まず基礎知識として、サモアの教育制度について簡単に説明します。

小学校は5歳から

サモアの教育制度
サモアの教育制度

サモアの小学校はプライマリースクールと呼ばれ、5歳になる年に入学し、1年生(Year 1)から8年生(Year 8)まであります。

その後、ほとんどの生徒がカレッジと呼ばれる中高一貫の学校に進学します。

カレッジは9年生から13年生までありますが、義務教育として定められているのは10年生までとされています。

義務教育は14歳まで

サモアの義務教育期間は、学年ではなく、年齢で決められており、「5歳から14歳まで」とされています。

つまり、留年などをせずに進級すれば、カレッジの10年生(第2学年)までという事になります。

そのため、大学進学をしない生徒などは義務教育の10年生を終えると、11年生以降は徐々に退学する傾向にあります。

学校は無償、しかし…

サモア政府は、義務教育の無償化政策として、11年生までの児童・生徒の授業料を肩代わりしています。

しかし、実際は行事などの入用があるごとに生徒からお金を徴収している光景をよく見かけました。

事実、金銭的・経済的な理由で退学してしまう家庭も一定数います。

サモアの学校で衝撃だった出来事3選

さて、ここで私がサモアで教員をして衝撃だったサモアの学校の特徴を3つ、紹介したいと思います。

教師のパシリ化している生徒たち

まず1つ目は、「圧倒的な教員の権力の強さ」です。

過去の記事でもお話ししましたが、サモアの社会で目上の人、特にマタイ(村の偉い人)の言う事に逆らって生きていくことはできません。

特に、教師はサモアの文化では敬われる存在である事が多く、生徒は決して口答えすることは許されません。

そのため、学校が荒れたりすることは稀で、ある意味でしっかりコントロールされており、勉強に適した落ち着きある雰囲気があります。

ただ「いや、さすがにやりすぎだろ。。」と思うところも多々あって、

例えば、よく見かけるのが、教師が生徒に向かって

「おい、〇〇(生徒名)こっち来い。コーラとパンケケ(サモアのお菓子)買ってこい。絶対にお釣り持ってこいよ!(くわっ)」

日本の「焼そばパン買って来い」的現象が、サモアでは「教師」から生徒に向けて行われています。

まあ、生徒も指名されると嬉しそうにしているので、信頼関係があってしているのでしょうが、日本ではまず考えられませんよね。

子育ても学べる学校環境?

次に、紹介するのが「子育て世代に優しい先進的な職場環境」です。

サモアの学校では、教師は自分の赤ちゃんや子どもを職場に連れてくることが普通です。

普通に授業中に授乳したり、授業している教師の周りをその子どもが走り回っていたりします。

しかしたまに、いや、結構な頻度で、女子生徒(割と高学年のしっかりした)を指名し、自分の子供の世話を一日中任せたりします。

その生徒は、授業がある時間も子どもをあやしたり、乳児だと抱っこし続けたりしなければならず、かわいそうな気もします。

しかし、サモアの文化では、自分より年齢が下の兄弟の面倒を見るのは、年長の兄弟の「仕事」とみなされているのです。

サモアでは、生徒が子育てを学ぶ環境としても、学校は機能しているのかもしれません。

過酷な環境下で行われる定期試験

サモアの学校でも年に5回ほど定期試験があり、子どもたちにとっても憂鬱な時期となります。

しかし、サモアの定期試験は日本のような生温いものではありません。

それは、試験内容では無く、以下のような過酷な環境との戦いがあるからです!

  1. テストの制限時間は1教科につき3時間
  2. 机と椅子は無く、地べたに寝転んで受験
  3. 試験中続く教員による精神的攻撃

テストの制限時間が1教科3時間

まず、試験日程については、1日2〜3教科実施され、それが5日間ほど続くのですが、

1教科につき、最大で3時間ほど設定されています。

つまり、生徒は3時間教室に拘束され続けるのです。

もちろん、3時間も解き続けている生徒はほとんどいません(笑)大体1時間経過するとほとんどの生徒が寝るか、遊び始めます。

こんなに時間いる?と思うのですが、大学入試の試験などもこれくらいの時間設定。

これがサモアのスタンダードのようです。

フルフラットシートで受験

田舎の学校は特にですが、生徒1人に1つ椅子や机がないことがあります。

そのため、試験の際は公平に試験を行うために、全員床で受験します。

あぐらをかいて、屈みながら試験を3時間行うことを考えると、腰痛持ちの私は身震いがします。

試験終盤は完全に寝そべってうつ伏せで解く生徒も出てきます(そりゃそうだ)

近年は、椅子や机の拡充が広がり、そんな学校は滅多にないと聞きますが、つい8年前まで紛れもなく普通にあった光景です。

教員による精神的攻撃

少し物騒な書き方をしましたが、これは何かというと「試験監督をする教員のティータイム」です。

試験監督の先生にとっても3時間と言う時間は当然苦痛です(だったらやめれば良いのに。。)

そのため、試験監督の先生にはお茶やお菓子、軽食が用意されます。

私も試験監督をよく担当していましたが、試験が始まってしばらくすると、生徒(おそらくパシリにされた)がお盆にのせたお茶とお菓子を持ってきてくれます。

その瞬間、試験中の生徒の集中は一斉に切断されます。

羨ましそうにこちらをチラチラ見る生徒、ニヤニヤしながら眉毛をクイっと上げる生徒、とにかく全生徒の視線がこちらに注がれ、大変戸惑いました。

私にできることは、せめてお茶を飲むときに音が出ないように、ビスケットをかじる時に音が出ないように噛むことしかありませんでした。

このように、サモアの子どもたちは試験を受ける際、様々な妨害や障害をかいくぐり、高得点を目指さなくてはいけないのです。

日本のように静かに集中して受験できる環境など、もはや生ぬるいのです。

サモアの中学生たち

サモアにおける教育の課題

そんなサモアの教育も、他の開発途上国と同様、様々な課題を抱えています。

ここでは、サモアの教育の課題として、以下の3つについてお話しします。

  1. 教員の専門性や指導力の欠如
  2. 教科書等のリソースの不足
  3. 生徒の進路選択の幅の狭さ

教員の専門性・指導力の欠如

まず教師の持つ教科の専門性や教授法、効果的な指導法などについての知識が不足していることが挙げられます。

考えられる原因としては、以下のようなものがあります。

  • 大学の教員養成段階における教育が十分ではない
  • そもそも教員が生徒時代に十分に各教科を理解していない
  • 教員になってからも校内研修などの自己研鑽の機会が不足している

この中でも、私が現在所属しているNGOルマナイサモアでは、「現職教員の研修機会の増加」を目的に活動を始めようとしています。

\サモアでの活動について詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ/

経験ゼロから途上国でプロジェクトをつくる方法②【デザイン・練り上げ編】

教科書等のリソースの不足

現在まで、サモアの小学校には正式な教科書は存在していません。

カリキュラムによって指導する内容は決まっていますが、教師は教科書を持たずに指導しなければなりません。

また、当然児童にも教科書はありませんので、児童が学習するための教材は、先生が授業中に黒板に書いたものを書き写したノートだけです。

ただ、裕福な家の子どもは、ニュージーランドなどで使われている教科書や参考書を持っておりそれを使って学習ができるため、経済格差が教育格差につながっている側面もあります。

進路選択が限られている

また、優秀な成績で学校を卒業しても、サモア国内で彼らが選択できる進路は非常に限られています。

その原因がサモアの産業の乏しさです。

サモアは産業のほとんどを観光業などのサービス業と農業などの一次産業で占めており、十分な雇用がありません。

そのため、優秀な人材はニュージーランドなどの近隣の先進国へと流れていき、経済的にも負の循環に陥ってしまいます。

また、先進国に行けるのは経済的に余裕のある一部の家庭であり、比較的勉強ができる生徒でも貧しい家庭に生まれれば、その力は生かされることなく埋もれてしまいます。

サモアにとって教育が「頑張れば自己実現できるチャンスを与えてくれるもの」となるよう、私たちNGOルマナイサモアも活動をしていきたいと思っています。

さいごに

いかがだったでしょうか?

今回は、サモアの学校や教育についてお話ししました。

サモアの教育はたしかに課題も多くありますが、ユニークな特徴や様々なことに寛大なところは、ある意味サモアの魅力であり、ともすると私たちが見習うべき点かもしれません。

そして何より、サモアの子どもたちは学校という場所が大好きで、のびのびと学んでいます。

決してネガティブなことばかりではないことを、この記事を通して知ってもらえたなら幸いです。

もしあなたがサモアにお越しの際は、そんな魅力たっぷりの学校の様子もぜひご覧ください。

私が責任を持って案内しますよ!

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板垣 暁歩

国際協力NGOルマナイサモア所属
サモアを愛する国際協力師
2020年7月よりサモアで算数・数学教育の新たなプロジェクトをスタート予定。「教育で人と世界をつなぐ」をモットーにサモアと日本の学校をつなぐプロジェクト進行中。ライターとして教育・国際協力の記事も執筆。

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