この記事では、このような悩みを解決します。
- 国際協力の仕事に就きたいけど、どんな仕事があるのか分からない
- 国際協力の仕事ってどんなことをするのか分からない
- 国際協力の仕事の応募資格を知りたい
私は現在はNGO団体の職員として国際協力に携わる仕事をしています。
かつて私もみなさんと同じ悩みを持ってました。
私が高校生・大学生だった頃は、
「国際協力したい!」「途上国のために働きたい!」と思っているだけで、
仕事については「え?JICA一択でしょ?」としか考えていませんでした。。
しかし、いざ国際協力に携わってみると、
「え!そんな仕事もあったの!?」「高校生・大学生のときに知っておきたかった!」
という情報がたくさんありました。
色々な仕事の選択肢や応募するための資格を学生のころから知っておくと、学生生活で何をすればよいかが明確になり、充実したものにすることが出来ると思います。
ということで、今回紹介する国際協力を仕事にする方法は次の通りです。
- JICA
- 開発コンサルタント
- NGO・NPO
- 国際機関
- 官公庁
- 在外公館派遣員
- 一般企業
- 団体設立・起業家
- 研究者
- フリーランス
では、それぞれの仕事についてもう少し詳しく解説していきます。
ぜひ興味のあるところから読んでみてくださいね!
こちらの記事もあわせてご覧ください。
JICA(国際協力機構)
国際協力と聞いて、最初に思いつくのがJICA(国際協力機構)ではないでしょうか?
以下、JICAについてまとめていきます。
JICAの仕事内容
- 日本のODA(政府開発援助)の実施機関
- 資金援助と技術協力が主な事業
- 主な仕事は、上記の事業マネジメント
- 国内に15カ所と海外約90カ国に拠点があり、海外勤務は必須
- 大卒初任給が212,827円/月(2019年・総合職)
ODA(政府開発援助)とは、開発途上国の開発を目的とした政府が行う経済協力のことです。
資金援助は、病院や学校、橋、鉄道などをつくるために必要な資金を援助することで、技術協力は、人材育成を目的とした専門家の派遣など技術的な援助のことです。
業務内容としては、実際に現場で自分の専門性を発揮して直接援助に携わるのではなく、援助が効果的・効率的にまわるよう後方からサポートしていくマネジメントの役割が主となります。
JICAの応募資格
① 短期大学、大学、大学院(修士、博士)いずれかの新卒
(② 英語の語学力)
JICAの採用情報が載っているWebページによると、2020年の総合職の募集要項で示されている応募資格は①の学歴だけです。
しかし、FAQには次のような記述もあります。
選考において、一定水準の語学力を必須条件にすることはしていません。(中略)入構後に獲得すべき語学力の最低限の目安としては、1年以内にTOEIC800点、3年以内に同860点といったところですが、英語をはじめとする各語学スキルの習得のためのプログラムが豊富に用意されているほか、TPOに応じた英語表現を学ぶ上級研修等も存在します。
JICA RECRUITING 2021: https://www.jica.go.jp/recruit/shokuin/faq/
つまり、1年でTOEIC800点を取るためには、採用前からある程度英語を勉強していなければ難しいと考えれば、応募資格としてTOEIC500~600程度必要と考えておいた方がよさそうですね。
JICAについてもっと詳しく知りたい方は、こちらのサイトもどうぞ。
開発コンサルタント
開発コンサルタント企業に就職することで、開発コンサルタントとして開発途上国の支援に携わることが出来ます。
開発コンサルタントの仕事内容
- 主にJICAから途上国における事業を請け負い、実働部隊として最前線で活動
- 橋や水道などのインフラ整備、いわゆるハード系の分野を請け負う企業や
- 教育や保健衛生などの社会開発、いわゆるソフトの分野を請け負う企業がある
- 企業によるが、大卒初任給は平均すると22~25万円程度/月
- 海外での勤務が多いが、長期滞在ではなく中・短期の出張ベース
特に開発コンサルタント企業に多いが、海外に長期駐在するというよりは、2,3か月ごとに日本と海外を行ったり来たりする生活になります。
また、専門職となると、総合職と違って教育や保健衛生など、特定の分野の専門性が高い人材が求められます。
開発コンサルタント企業への就職を見据え、これからを大学に進学を考える高校生の皆さんは、自分がどのような専門分野を身につけて国際協力したいかを考えて、進路選択するのがおすすめです。
開発コンサルタント企業の応募資格
- 企業によるが、原則4年制大学卒
- 高い英語力が求められる(目安はTOEIC800点程度)
- 即戦力を求める傾向が強いため、新卒の採用枠が多くない
(専門性のある社会人枠での採用が中心)
開発コンサルタント企業について詳しく知りたい方は、こちらのサイトもどうぞ。
国際協力NGO・NPO
NGO(Non-Governmental Organization)は非政府組織、NPO(Non-Profit Organization)は非営利組織とも呼ばれます。
「非営利」って言われるとお金儲けできないから、給料ないんじゃないって思う方もいるかもしれませんが、職員に対する報酬はもちろん認められているので、その点は心配はありません。
NGO・NPOの仕事内容
- その団体が援助したい国や地域のニーズに合わせて活動が可能
- 現地に入り、草の根レベルでの援助を主な活動としている団体が多い
- 日本をベースに途上国支援をする団体もある
- 開発途上国に長期滞在(駐在)することもある
- 20代の平均給与は276万/年(JANIC2017年調査)
NGO・NPO団体の応募資格
- 小規模の団体が多いため、そもそも採用を定期的に行っていない
- 世界で活動している団体であればあるほど、英語で問題なく業務ができるレベルの語学力が必要
- インターンやアルバイトから採用につながるケースが多い
NGO・NPOでの仕事に興味がある方は、まずはインターン、もしくはその団体が主催するイベントやスタディーツアーなどの参加から始めるのもいいですね。
NGO、NPOについて詳しく知りたい方は、こちらのサイトもどうぞ。

国際機関
国際連合やそれに関連する専門機関で仕事をする職員を国際公務員と呼びます。
仕事の内容は各専門機関によって様々ですが、国際社会全体の利益と共存のために働く仕事です。
国際機関の仕事内容
- 専門職と一般職がある
- 専門職は、専門的な知識や技術を活かした仕事で、経済援助や環境保護などのプログラムの遂行のための直接的な業務のほか、会計、人事、広報などの業務もある
- 一般職は、専門職の補助として事務などを担当
- 国際機関やその支部がある国に常駐する
- 年収はどの国際機関でもおおむね500万円~1000万円
国際機関の応募資格
応募方法は3つあるが、どれも高い英語力と修士号が必要
- 空席公示
各国際機関のポストに直接応募する方法。非常に高い専門性と実績が求められるため、ある程度経験を積まないとまず通らない - JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)制度
外務省が行っている国際機関に対して2年間日本人を派遣する制度。この制度で実績を積み、正職員へのステップアップを狙う。応募資格に「国際機関の業務に関連する分野での勤務経験が2年以上あること」とあるため、青年海外協力隊に参加した後に応募するパターンが王道。 - YPP(国連事務局ヤング・プロフェッショナル・プログラム)制度
年に一回試験が行われ、書類審査、筆記試験、面接を経て、合格すると合格者名簿に掲載され、ポストが空くのを待てる制度(合格=採用ではない)。採用されば2年の任期で勤務でき、優秀なら引き続き雇用される。大卒で経験がなくても応募できる唯一の方法。
国際機関への就職についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのサイトもどうぞ
官公庁
官公庁の中でも外務省の職員になれば、国際協力に携われることができます。
とくに、大使館や総領事館などの在外公館での勤務になれば、日本のODAに関する業務を多く扱っていくことになります。
ここでは、外務省の在外公館の業務についてまとめます。
外務省(在外公館)の仕事内容
- 日本の文化などを広める広報活動
- JICAとともにODAの方針や計画を決定
- JICAのODA活動を監督
- その国に滞在する邦人の保護等
- その国に進出している日本企業の支援等
- 総合職(大卒程度)の初任給は230,000円程度
その国での広報活動を通して、日本のイメージを良いものにする活動は、国家間の関係をより強固にするために必要な活動といえるでしょう。
また、ODAについては、JICAと一緒に援助のニーズを調査したり、その国の要人との会合に参加する機会も非常に多いです。
外務省の応募資格
① 日本国籍を有する者
② 大学、短大、高専を卒業見込みの者
応募後、試験を受け、合格した者が採用となります。
ちなみに1次試験の内容は、国際法、憲法または経済学、時事論文、基礎能力試験、外国語試験となっています。その後、2次試験では外国語での面接などもあるようです。
外務省の仕事についてもっと詳しく知りたい方は、こちらのサイトもどうぞ。
在外公館派遣員
在外公館派遣員は、海外にある日本大使館などで働く仕事です。
この仕事は2年契約ではありますが、高卒でも応募できる点が最大の魅力です。
在外公館派遣員の仕事内容
- 基本的に、上述の在外公館で勤務する外務省職員のサポート
- 会議の準備や移動方法の確保、広報活動などが主な業務
- 給与は、月額24万~39万円(派遣先による)
在外公館派遣員の応募資格
- 日本国籍を有している
- 高校卒業以上
- 普通自動車免許を持っている
- 試験に外国語の試験があるため、一定レベルの語学力が必要
在外派遣員について詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ
一般企業
一般企業に就職しても、国際協力に携わるチャンスがあります。
とくに、近年、企業に対してもSDGsを意識した事業や取り組みを行っている一般企業が増えています。
その企業に入り、SDGs事業の担当部署に配属になることで、国際協力を仕事にすることが可能です。

また、ソーシャルビジネスを展開している企業への就職も一つの方法です。
ソーシャルビジネスとは、解決すべき社会的課題に取り組むことを最大の目的とし、損失や配当がなく、持続可能な事業のことです。
このソーシャルビジネスを始める企業がここ数年で増加しているようです。
団体設立・起業家
上で述べたNGO・NPO団体の設立、またはソーシャルビジネスを行う会社を起業するという方法もあります。
自分のやりたいことや、解決したい課題に取り組む組織が無ければ、自分で作ればいいんです。
実際にNGO・NPO団体であれば、すぐにでも作れます。
起業するとなると資本金が必要ですが、最近はこういったソーシャルビジネスを行う社会的企業を資金面で助ける制度や、サポートを行っている企業もあります。
自分がやりたいこと、解決したい問題が明確なら、検討する価値ありです!
団体設立をお考えの方はこちらの記事もご参考にして下さい。
研究者
大学や研究所などに所属し、国際協力に関連する分野で研究者として働く方法もあります。
大学の研究員や教授として働くためには、かなりの専門性が必要であるため、最低でも修士、大学の教授であれば博士号の取得まで視野に入れる必要があります。
しかし、開発途上国にとってより効果的な国際協力を行っていくうえで研究者の存在は欠かせません。
また、実際に開発途上国に足を運び、フィールドワークを行いながら研究を行ったり、
JICAや開発コンサルティング企業が実施するプロジェクトにも、専門家として参画することも多いため、
国際協力における重要なアクターの1人であると言えるでしょう。
フリーランス
さいごにどの組織にも属さずにフリーランスで国際協力を行う方法があります。
組織に所属して国際協力を行う場合、多かれ少なかれ、組織の意向にそった事業を進める必要があります。
しかし、フリーランスの場合は、本当に自分がやりたいことに突き進んでいけるメリットがあります。
ただし、活動資金や収入についても自分で生み出す必要がある点が最も難しい点です。
最も定番の資金獲得方法は、寄付金を集めたり、講演会の実施、書籍の販売を行ったりすることですがのが
最近ではブログやYoutubeなど、それなりの発信力を持てばフリーランスとしても資金調達できる時代になりました。
ただし、健康保険や社会保障等の手続きはすべて自分で行う必要があります。
さいごに
いかがだったでしょうか?
今回は、国際協力を仕事にする10の方法を紹介しました。
国際協力をするうえで、仕事に就くことは「目的」ではなく、あくまで「手段」です。
したがって、
① 自分が何をしたいのか
② どういった問題を解決したいのか
③ 自分に合った役割は何なのか
この3つを良く考えたうえで、選択していくことが大切だと考えます。
とはいえ、やってみないことには分からないのも事実!勇気をもってチャレンジすることが重要です!
あなたの自分らしく生きるための挑戦を心から応援しています!
