世界にはサモアと呼ばれる国が2つあるのをご存知ですか?
サモア独立国とアメリカンサモア(米領サモア)です。
一般的に「サモア」と言った場合、「サモア独立国」の方を指します。
なので、このブログで散々サモアの紹介してきたのは「サモア独立国」です!
(お間違いのないよう!)
そして今回紹介するのは米領サモア、その名の通りアメリカ合衆国の自治領です。
実は、サモア独立国と米領サモアは元々は同じ1つの国でした。
この両国の分断の原因には、サモア国内の権力争いと欧米諸国による介入がありました。
この記事では、米領サモアとはどのような国か、サモアと米領サモアの分断の歴史、サモアと米領サモアの違い・共通点についてお話していきます。
そもそもサモアと米領サモアってどんな国?
まずは、サモア独立国と米領サモアについての基本的な情報を確認していきましょう。
サモアと米領サモアの位置関係
サモア独立国と米領サモアは、隣どうしの島国です。
西側がサモア独立国、東側に位置するのが米領サモアです。
ご年配の方ですと、サモア独立国が「西サモア」と呼ばれていた時代もご存知かと思います。
サモアと米領サモアの基本情報
サモア独立国の基本情報は以下の通りです。
一方、米領サモアはアメリカ合衆国の自治領で、準州という扱い。基本情報は以下の通りです。
米領サモアへの行き方
米領サモアへは、日本からの直行便はありません。
米領サモアに行くには、ハワイ、ニュージーランド、サモアのいずれかを経由しなければいけません。
日本からの行きやすさで言うと、ハワイ経由がいいですが、おすすめはサモア経由!
サモア独立国と米領サモアは一日8便も航空便が往復しているんですが、
この飛行機が最高です!
約20人乗りの超小型飛行機で、コクピットも丸見えの大興奮フライトを満喫できます!
サモアからたった30分で到着するので、サモアに旅行に来たついでにぜひ!
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サモア独立国と米領サモア、分断の歴史
ここからは、サモアが2つに分断された歴史に迫っていきます。
古代のサモア諸島
もともとサモア諸島(現在のサモアと米領サモアの島々の総称)に、人類が到達したのは紀元前950年頃でした。
この民族は、日本人の祖先でもあるモンゴロイド系の民族でした。
とくに現在の米領サモアのマヌア諸島は、ポリネシアの中でも最も古い歴史を持っている島で、一時はマヌア諸島の王が、現在のフィジーやトンガ、クック諸島といった島々を支配していた時代もありました。
サモア人のルーツについて興味がある方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
ヨーロッパとの接触
独自の文化を築いていったサモアが西洋の人々に発見されたのは、18世紀のことでした。
1772年にオランダ人が現在の米領サモアの小島を発見したことが記録されているほか、1768年にはフランス人探検家がこの島に上陸し住民と接触しました。
これを機に、多くのヨーロッパ人がサモアに上陸することになります。
そして、1828年にメソジスト派の宣教師が初めてサモアに上陸したのをきっかけに、欧米諸国の流入は一気に加速していきました。
欧米諸国の介入による分断
19世紀後半になると、サモアの中で大きな権力闘争が巻き起こります。
伝統的に高い地位を有してきた2つの家系が東西に別れ、住民を巻き込んだ争いが続きました。
そしてこの権力闘争にドイツと米・英両国の主導権争いが絡み、収拾がつかないくらいの混乱がサモアを襲いました。
そして1899年、独米英の3国間で条約が締結され、サモア諸島の東部を米国、西部をドイツが統治することに決まりました。
これ以降、サモア諸島は東西に分裂した歴史を歩むことになったのです。
ちなみに、1962年に西側のサモアは独立を果たし、「西サモア」と名乗り始めました。
現在の「サモア独立国」という名前になったのは1997年でした。
一方、米領サモアはこの出来事から現在に至るまでアメリカ領のままです。
サモア独立国と米領サモアの違い・共通点
このように、欧米諸国の都合が大いに影響して分断されたサモアと米領サモア。
異なる道を歩むようになって50年以上が経ち、現在、サモアと米領サモアにはどのような違い・共通点があるのでしょうか。
時差が24時間
サモア独立国と米領サモアの時差は24時間です。
その理由は、日付変更線がサモア独立国と米領サモアの間に通っているから。
これ、実は2011年から始まったことなんです。
それまでは、サモアも日付変更線の東側、つまり米領サモアと同じ時間帯で過ごしていました。
しかし、サモアは独立以降、西のニュージーランドとの貿易が盛んになっていったため、時差によって約一日ずれてしまうことで、経済的に不便な思いをしていました。
(例えば、サモアが土曜で休みなのにNZが金曜で平日だと経済的なやり取りがしにくいなど)
そこで、2011年に「サモアは日付変更線の東から西に移動しまーす!」と宣言することになったのです。
移行する当日は2011年12月29日の24:00だったんですが、日付が変わる瞬間に一気に12月31日0:00に移行しました。
したがって、サモアの歴史に2011年12月30日は存在しません!(いやマジで)
通貨や法律の違い
サモア独立国と米領サモアの違いはまだまだあります。
例えば通貨。サモア独立国はタラという独自通貨ですが、米領サモアはアメリカドルです。
国が違うので法律も当然違います。分かりやすいので言うと、サモアは車が左側通行ですが、米領サモアはアメリカと同じ右側通行です。
また、米領サモアはアメリカ海軍の駐留地にもなっているため、夜にバーなどに行くと軍人らしき方を見かけるのも、軍隊のないサモアとの大きな違いかもしれません。
雰囲気の違い
実際に2つの国を訪れてみて私が一番感じたのは、雰囲気の違いです。
サモアは道路がまだ凹凸があったり、建物も伝統的なものが残っていますが、
米領サモアの道路はとにかくきれいで整備されており、西洋風の家が多い印象を受けました。
アメリカの統治下になり、インフラなどは整備されきれいになる一方で、伝統的な文化がなくなっているのではと感じ、少し寂しい気持ちになりました。
言葉や文化などの共通点
一方で、分断してから100年ほどしか経っていないため、共通点も多くあります。
例えば、言葉です。
サモアでも米領サモアでも同じ「サモア語」を公用語として話しているので、お互いのコミュニケーションはサモア語で問題なくできます。
食べ物についても、タロイモやブレッドフルーツなど主食にしているものや、伝統料理のウムやオカも同じです。
他にも、キリスト教が広まっていることや、みんな大きな体をして優しいところなんかは一緒ですね。
おすすめの観光スポット
さいごに米領サモアのおすすめの観光スポットを紹介します。
アメリカンサモア国立公園 National Park of American Samoa
この国立公園の中でも、首都パゴパゴのすぐ近くにあるアラヴァ山(Mount ‘Alava)へのトレッキングがおすすめです。天然のアスレチックのようなトレッキングコースを楽しみながら登り、頂上では美しい太平洋の海が一望できます。南の島の火山での最高のトレッキングを、しかも無料で楽しめますよ!
オフ島のホエールウォッチング Ofu island
もし時間があるなら、オフ島に足を運び、オオコウモリやヤモリ、イルカ、ウミガメなどの野生生物に出会ってみるのもおすすめです。特に、9月から10月はザトウクジラが生で見られるシーズンとなっているため、ホエールウォッチングも楽しめますよ!
さいごに
いかがだったでしょうか?
今回は、サモアとアメリカンサモアの分断の歴史、サモアとアメリカンサモアの違いや共通点、アメリカンサモアのオススメ観光スポットをご紹介しました。
日本人でアメリカンサモアに行ったことがある人はなかなかいないと思います。
世界中を旅するのが好きな人には、死ぬまでに一回は訪れてほしい場所ですね。
サモアを旅した後にアメリカンサモアに行くと、その違いを肌で感じることが出来るため、おすすめですよ!