国際協力

太平洋・島サミット(PALM)とは|参加国や目的、歴史などを解説

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この記事では、次のような疑問や悩みを解決します。

  • 太平洋・島サミットにはどんな国が参加しているの?
  • 太平洋・島サミットでは何が話し合われているか知りたい
  • 太平洋・島サミットはいつから行われている?

太平洋・島サミットは日本が開催国として始まった国際会議です。

太平洋に位置する島国の首脳が集まり、島国ならではの共通の課題について解決策を話し合う貴重な場となっています。

また、2024年には東京において第10回太平洋・島サミット(PALM10)の開催が予定されています。

太平洋・島サミットを知ることで、大洋州(オセアニア)の島国が抱える問題や、私たち日本が果たすべき役割を理解することができます。

筆者は、サモアで青年海外協力隊として活動した経験をもち、現在はNGOとしてサモアを支援し続けています。この経験を踏まえ、この記事では以下の事柄について解説します。

  • 太平洋・島サミットの参加国・目的
  • 太平洋・島サミットの歴史
  • 太平洋・島サミットの成果と課題

太平洋・島サミットの基本情報

太平洋・島サミットは、正式名称を日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議 (PALM: PAcific island Leaders Meeting)とし、日本と太平洋の島国の首脳によって1997年から開催されている国際会議です。

太平洋・島サミットの参加国

太平洋・島サミットの参加国は、日本を含めた17の太平洋島嶼国から構成されます。

太平洋の島国は、メラネシア、ミクロネシア、ポリネシアの3つの地域に分かれています。

  • 【メラネシア地域】 パプアニューギニア、ソロモン諸島、フィジー、バヌアツ
  • 【ミクロネシア地域】キリバス、ミクロネシア連邦、パラオ、マーシャル、ナウル
  • 【ポリネシア地域】サモア、トンガ、クック諸島、ツバル、ニウエ

これにオーストラリア、ニュージーランド、日本を含めて全17カ国となります。

第8回からは、新たにフランス領であるニューカレドニアと仏領ポリネシアの2地域も参加しました。

太平洋・島サミットの目的

太平洋・島サミットの目的は、島国同士のネットワーク(協力関係)の構築・強化にあります。

太平洋・島サミットの目的について、日本の外務省は以下のように述べています。

太平洋・島サミットは,太平洋島嶼国が直面する様々な問題について首脳レベルで率直に意見交換を行い,地域の安定と繁栄に貢献するとともに,日本と太平洋島嶼国のパートナーシップを強化することを目的として

外務省HP「第8回太平洋・島サミット(PALM8)」

この背景には、島国が抱える共通問題があります。

島国は国土が小さいために、資源(人的も含む)には限界があります(狭小性)。

また、多くの島によって構成されている国が多く、経済活動や社会サービスを充実させることも困難です(遠隔性)。

さらには、周りが海で囲まれていることから、気候変動や自然災害に対して脆弱です(海洋性)。

このように、島国だからこその共通の課題をもった国々が集まり、協力して問題の解決を図ることこそ太平洋・島サミットの意義と言えるでしょう。

\太平洋島嶼国の問題について詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ/

なぜ南の島の楽園が援助を必要としているのか【大洋州の島嶼国が抱える脆弱性】

太平洋・島サミットの議題・内容

太平洋・島サミットの議題や内容は、島嶼国が抱える問題の現状と今後の解決方法や対策についてです。

以下に、過去の太平洋・島サミットで議題となったトピックを挙げます。

  • 輸出入などの貿易
  • 漁業
  • 気候変動・海面上昇
  • ビジネス、観光
  • 廃棄物処理
  • 感染症対策(安全な水へのアクセス)
  • 防災
  • 教育
  • 海洋の安全と秩序

中でも防災については、自然災害大国である日本が持つ知見や経験を共有することは、大変意義のあることであり、日本がイニシアチブを発揮すべき部分と言えるでしょう。

また、廃棄物処理についても、多くの太平洋島嶼国に対して協力が実施されてきました。

太平洋・島サミットの歴史

次に、太平洋・島サミットの歴史について解説します。

太平洋の島国と日本の接点

もともと日本と太平洋の島国とは歴史的にたくさんの接点がありました。

戦時中は、パラオやミクロネシアなどが日本の統治下に置かれていたため、日本の言葉や文化などが今でも残っている地域もあります。

例えば、パラオでは「ビールを飲むこと」を「ツカレナオース」と言うそうです。

嘘みたいな話ですが、日本統治下において日本語教育が行われていた歴史もあり、現在はれっきとしたパラオ語だそうです。

他にも明治期には日本人労働者が太平洋島嶼国に移民として移り住んでいたり、紀元前までさかのぼると、ポリネシア人のルーツは日本人と同じモンゴロイドであるという説もあります。

\ポリネシア人の祖先のルーツについて詳しく知りたい方はこちらもどうぞ/

【日本人と祖先が同じ!?】サモア人のルーツを徹底解剖!

このような背景から、太平洋には親日な島国が非常に多いことも、太平洋・島サミット実現に寄与したと言われています。

太平洋・島サミットのあゆみ

太平洋・島サミットは1997年に第1回が開催され、そこから3年に1度のペースで開催され続けています。

太平洋・島サミットのこれまでの歩みを下の表にまとめました。

時期主な出来事議長国
1997年10月「第1回太平洋・島サミット(PALM1)」開催(東京)日本
2000年4月「第2回太平洋・島サミット(PALM2)」開催(宮崎)日本・パラオ
2003年5月「第3回太平洋・島サミット(PALM3)」開催(沖縄)日本・フィジー
2006年5月「第4回太平洋・島サミット(PALM4)」開催(沖縄)日本・パプアニューギニア
2009年5月「第5回太平洋・島サミット(PALM5)」開催(北海道)日本・ニウエ
2010年10月「太平洋・島サミット中間閣僚会合」開催
2012年5月「第6回太平洋・島サミット(PALM6)」開催(東京)日本・クック諸島
2013年10月「太平洋・島サミット第2回中間閣僚会合」開催日本・マーシャル諸島
2015年5月「第7回太平洋・島サミット(PALM7)」開催(沖縄)日本・パラオ
2017年1月「太平洋・島サミット第3回中間閣僚会合」開催日本・ミクロネシア連邦
2018年5月「第8回太平洋・島サミット(PALM8)」開催(福島)日本・サモア
2020年10月「太平洋・島サミット第4回中間閣僚会合」開催日本・ツバル
2021年7月「第9回太平洋・島サミット(PALM9)」開催(三重)日本・ツバル
2024年2月「太平洋・島サミット第5回中間閣僚会合」開催(フィジー)日本・クック諸島
2024年7月
(予定)
「第10回太平洋・島サミット(PALM10)」開催(東京)
太平洋・島サミットのあゆみ

太平洋・島サミットのこれから

最後に、太平洋・島サミットの今後の展望や課題について解説します。

2021年PALM9での協議内容

上述の通り、直近では2021年に第9回太平洋・島サミット(PALM9)が開催されました。

PALM9では、今後3年間の重点分野として、以下5つの重点分野を中心に議論が行われました。

  1. 新型コロナへの対応と回復
  2. 法の支配に基づく持続可能な海洋
  3. 気候変動・防災
  4. 持続可能で強靱な経済発展の基盤強化
  5. 人的交流・人材育成

外務省HPより)

議論の成果として「第9回太平洋・島サミット(PALM9)首脳宣言」、附属文書である「太平洋のキズナの強化と相互繁栄のための共同行動計画」及び「ファクトシート-PALM8以降の日本の支援」が採択されました。

太平洋・島サミットの成果と課題

太平洋・島サミットが始まってから20年以上が経過し、各国の関係は確実に強固なものになっています。

互いの信頼関係を構築するところから始まり、2006年あたりからは日本はドナーとして太平洋島嶼国を援助する立場として役割を果たしました。

PALM7(2015年)では、防災や気候変動、環境、貿易、人材育成などの分野に対して3年間で550億円以上の支援を行いました。

そして、PALM8(2018年)からはいよいよ太平洋島嶼国の経済的自立を見越した、ビジネスパートナーとしての対等なパートナーシップに変わりつつある様子が見えてきました。

領土も人口も小さい島国にとって、自国の経済を回すだけの産業を発展させることは決して簡単ではありません。

ほとんどの国が観光業や農業に依存しているなか、この状況を打開できるビジネス人材の育成が今後の課題の一つとなるかもしれません。

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国際協力NGOルマナイサモア所属
サモアを愛する国際協力師
2020年7月よりサモアで算数・数学教育の新たなプロジェクトをスタート予定。「教育で人と世界をつなぐ」をモットーにサモアと日本の学校をつなぐプロジェクト進行中。ライターとして教育・国際協力の記事も執筆。

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