サモア

【サモア環境問題対策の最前線】 エコスクールの取り組みとは

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私が毎日欠かさずチェックしているサモアの新聞「Samoa Observer」

先日、こんな気になる記事を見つけました。

‘Eco-school’ to open in Samoa by 2021
Preliminary discussions have begun to establish Samoa’s first “eco-school”, which will offer courses that raise environmental awareness and conservation..

(対訳)
2021年までにサモアで「エコスクール」が開講
環境への気付きと保全意識を高めるコースを設置した、サモア初の「エコスクール」設立についての議論が始まった。

Samoa Observer

サモアでは環境問題への危機意識が年々強くなっていまする。

特に問題となっているのがゴミ問題です。

日本でもレジ袋の有料化が決まり、最近特に関心が高まっているゴミ問題は、サモアではさらに深刻な問題となっています。

今回はサモアのゴミ問題エコスクールについてお話していきます。

サモアという国についてよく知らないという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

【6月1日はサモア独立記念日】これを見ればサモアがわかる4つの特徴

サモアのゴミ問題

冒頭でも述べたように、サモアではゴミ問題が大きな課題の一つです。

サモアでなぜゴミ問題が深刻か

サモアでゴミ問題が大きな関心を集めている理由は3つあります。

  • 自然環境の汚染による観光業への影響
  • ゴミ処理場の問題
  • 他国への輸入依存

以下で、詳しく説明していきます。

最大の産業が観光のサモア

サモア最大で唯一の産業と言ってもいい「観光」にとって、ゴミ問題は大きな問題です。

まず、ゴミのポイ捨てによる景観の悪化です。

欧米との貿易が今ほど無かった時代、といっても本当につい最近まで、サモアは基本的に各家庭が農業をし、自給自足で生きてきました。

基本的にゴミは土に還るようなものがほとんどだったため、ゴミのポイ捨てが習慣化していました。

しかし、欧米からのモノの流入が増え、それに合わせて、いやそれ以上のペースでゴミの量も増えていきました。

とくに、ゴミの中でも自然に還らないプラスチックゴミは大きな問題です。

景観を損ねるだけでなく、生態系への影響もあり、自然を売りにしているサモアにとっては致命的です。

サモアで発生するゴミの28%はプラスチックであり、それが川を通じ海に流れ、景観を損ねるだけでなく、生態系にも影響を及ぼします。

最近では97%の魚の体内からマイクロプラスチックスが検出されたという調査結果も発表されています。

小さな島国の処理場の限界

また、サモアのような小さな島国にとって問題なのが、ゴミを処理するための広大な土地の確保です。

当然、高性能な焼却処分場などなく、ゴミの埋め立て地で処分しているものの、近い将来必ず限界がきます。

ゴミそのものを減らさない限り、この問題は解決できないわけです。

輸入によるゴミの増加

ではなぜ、ゴミが増えているのか?

原因の一つは、食料の他国依存です。

サモアは多くの食料を他国から輸入しています。そのため、国内のゴミは増える一方です。

さらには、そのほとんどがプラスチックなどの土に還らない素材で包装されたもの。

上述のような問題が深刻になるわけです。

そんなサモア政府は2019年、ついにプラスチック袋の利用禁止を法律で決めました。

サモアのスーパーなどで貼られている実際のポスター

この法律によって、プラスチック買い物袋、包装用のプラスチック、プラスチック製のストローの輸入・製造・輸出・販売・流通が禁止されました。

ちなみに、この禁止令は段階的ではなく、施行日を境に一気に施行されたようなのですが、それでもみんなしっかり対応できちゃうサモア人はやっぱりすごいです笑

それに比べて日本のゴミ問題はまだまだ時間がかかりそうですね。。

プラスチックゴミ問題についてもっと知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。

【サモアがプラ使用を厳罰化】なぜプラスチックゴミが問題かを解説

Eco School -エコスクール- とは

次に、サモアで開講されることになったエコスクールについてお話します。

私はSamoa Observerの記事を見てまず思ったのが、「そもそもエコスクールってなんだ?」でした。(恥ずかしながら、、)

ということで早速調べてみると、エコスクールには2種類あることが分かりました。

2つのエコスクール

  1. 日本が進めるエコスクール事業
    日本の文部科学省が推進しているもので、「エコスクールとは、環境を考慮して整備された学校施設のこと」とあるように、学校の施設や設備をエコなものにしようという取り組み(例.太陽光パネル設置、緑化事業、リサイクル等)。また、これらを教育にも活用していくことが推奨されている。
  2. 環境学習プログラム エコスクール -Eco-schools-
    デンマークの国際NGOの環境教育基金(FEE)が行っている、学校の環境マネジメント・環境認証基準・環境教育に関する総合的な国際認定プログラム。学校は、この基準やプロセスに従って、ゴミの減量、リサイクルから、再生可能エネルギーの活用、生物多様性の実現など、様々な環境活動を行う。またこの環境活動はすべて児童・生徒中心で行われる。

1のエコスクールは、日本独自の事業で、学校施設や設備を環境に配慮したものにする取り組みで、ハード面が中心の事業のようです。

一方で2で紹介したエコスクールは、ヨーロッパを中心に世界に広まっているプログラムです。

環境に優しく持続可能性ある学校づくりをするためのハード面に配慮しながら、メインはあくまでもソフト面の生徒中心の環境学習プログラムを学べるハイブリッドな取り組みのようです。

加えて、生徒の環境への関心や意識を喚起し、行動へと結びつけていくというアプローチを大切にしているとのこと。

世界68カ国59000校が実施 Eco-Schools プログラム

デンマークから始まったこのプログラムは、ヨーロッパ各地に伝わり、現在は68カ国59000校で行われています。イギリスでは2020年までに全学校で完全導入を目指しているそうです。

さらに特筆すべきは、ヨーロッパだけでなくケニア、マダガスカル、ヨルダン、マレーシア、チリと各地域にも広がり、決して裕福ではない国、いわゆる開発途上国でも実施されている点です。

環境問題は一部の国だけの問題ではなく、地球規模の問題です。

こういった環境教育も、地域や経済レベルに関係なく実施されるのは非常に良い取り組みだと個人的には思います。

エコスクール 7つのステップ

FEE Japanのホームページによると、Eco-Schoolsのプログラムは次の7つのステップに沿って行われているようです。

エコスクールのメリット

エコスクールプログラムのメリットとして、以下ような点が考えられます。

・子どもにただ決めさせるのではなく、教員や保護者、地域までも巻き込み、大人がサポートできる仕組みができている

・7つのステップ自体がPDCAサイクルになっていて、これに従うことで問題解決型の学習を実現できる(プロジェクトマネジメントの基礎にもなってる)

・最終的なゴールが課題や解決策を周囲や学校・地域と共有することにあることで、教室での学びだけで終わらず、自分たちが住む地域、国、地球と広げていくことができる

日本でも、このプログラムを実施している学校がいくつかあるようです。

さいごに

冒頭で紹介した記事の中では、次のようにも書かれています。

エコスクールでは、数学や英語、理科などの一般教科を学ぶだけでなく、植物についての知識や利用方法、そしていかに環境や自然を尊重していくべきか学ぶことが出来ます。

Samoa Observer

この学校で実施されるプログラムが、今回説明したEFFのプログラムをフォローするような内容になるかは分かりませんが、

エコスクールでの学びを通じて、サモアの未来を背負っていく頼もしい若者が育っていくことを期待してやみません。

サモアのエコスクール最新情報については、今後も随時 Samoaki blogで報告していきたいと思います。

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さもあき

国際協力NGOルマナイサモア所属
サモアを愛する国際協力師
2020年7月よりサモアで算数・数学教育の新たなプロジェクトをスタート予定。「教育で人と世界をつなぐ」をモットーにサモアと日本の学校をつなぐプロジェクト進行中。ライターとして教育・国際協力の記事も執筆。

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