国際協力

ワールド・ビジョンの評判を徹底検証!【寄付先を選ぶコツも紹介】

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この記事は、次のような悩みや疑問を解決します!

  • ワールド・ビジョンの評判を知りたい
  • ワールド・ビジョンへの寄付をしようか迷っている
  • 怪しい団体に寄付をして失敗しないよう、寄付先の選び方を教えてほしい

日本でもっとも有名な国際NGO団体の一つ、ワールド・ビジョンをご存じでしょうか。

様々な貧困地域に暮らす子どもの支援を目的に活動する世界的なNGO団体であり、チャイルド・スポンサーシップという独自の取り組みは、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、インターネットやSNSなどを見ると、ワールド・ビジョンについての評判として「怪しい」「胡散臭い」といったネガティブなコメントが散見されます。

これらは本当なのでしょうか?

今回は、ワールド・ビジョンの評判についてSNSでどのように語られているかを調べ、実際に支援していた方に聞き取りを行い、その真意を検証してみました。

また、筆者も国際協力NGOとして活動している経験から、失敗しない寄付先の選び方についても紹介したいと思います。

この記事では、以下の内容について解説します。

  • ワールド・ビジョンの良い評判と悪い評判
  • 支援経験者が語るワールド・ビジョンについて
  • 失敗しない寄付先の選び方

ワールド・ビジョンの評判

ワールド・ビジョンは国際的なNGO団体の一つであり、主に開発途上国と呼ばれる国に暮らす子どもの貧困や教育、健康のために支援しているアメリカの団体です。(世界各地に拠点があり、日本にもワールド・ビジョン・ジャパンがあります)

まずは、ワールド・ビジョンの評判にはどのようなものがあるか、一緒に見ていきましょう。

ワールド・ビジョンは怪しい?寄付の使い道への疑問

このように、ワールド・ビジョンのネガティブなコメントは、主に「寄付金がきちんと子どもの支援に使われているかどうか」という点に疑問を持っている人が多いようです。

また、時折見かけるテレビのCMや、インターネットの広告にも批判的な意見が見受けられます。

ワールド・ビジョンの広告には、「開発途上国の子ども」が使われていることが多く、感情に訴えかけるような写真に嫌悪感を感じる方もいるようです。

(↓ワールド・ビジョンの広告例)

チャイルドとの交流など、ポジティブな評判も多い

ワールド・ビジョンには、チャイルド・スポンサーシップという月額4,500円の寄付制度があり、支援地域に住む特定の子ども「チャイルド」を担当し、チャイルドや彼らが住む地域に寄付が行うことができる制度です。

チャイルド・スポンサーシップでは、チャイルドの成長記録を受け取ったり、手紙を通じて交流をすることができるといった特徴があります。

このため、「楽しく寄付ができる」「寄付の実感を得ることができる」と感じる人が多く、ポジティブな評価につながっているようです。

ワールド・ビジョンの評判を検証してみる

これらの評判について検証をするために今回、ワールド・ビジョンが公開しているデータを調査したり、実際に支援をした経験がある方に聞き取りを行いました。

数字で見るワールド・ビジョンのお金事情

ワールド・ビジョンは、毎年団体の会計報告を詳細に報告しています。

日本支部であるワールド・ビジョン・ジャパンの講評する2020年度の会計報告によると、収入と支出は以下の通りです。

2020年度の収入(経常収益):59億39万円

    内訳 チャイルドスポンサーシップ:31億7157万円(53.8%)
その他の募金・寄付金:8億8288万円(14.9%)
       国連や政府系団体からの補助金など:18億4159万円(31.2%)

2020年度の支出(経常費用):58億1245万円

    内訳 現地事業活動費用:48億4779万円(83.5%)
       広報活動費用:8億6795万円(14.9%)
       団体管理・人件費:9671万円(1.6%) 

ワールド・ビジョンHP内「数字で見るワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)」)

収入金額を見ると、寄付金額の多さにまず目が行きますよね。

そのうち、大部分の支援者が行っているチャイルド・スポンサーシップによる収入は、約31億円にものぼり、収入の半分以上を支えています。

割合で見れば、現地のために十分なお金を使っている!

ワールド・ビジョンにネガティブな印象を持つ方の多くが疑問に思っているのが、「お金の使い道」でした。寄付したお金が「本当に現地にのために使われているのか」「人件費や広告費に多く使われているのではないか」といったコメントが散見されました。

結論から申し上げると、ワールド・ビジョンは他のNGO団体と比較しても、十分なお金を現地のために使っています

注意しなければならないのは、金額と割合の見え方の差です。

ワールド・ビジョンでは、支出の83.5%が現地事業のために使われており、約16%がそれ以外の広告費や人件費に使われています。

これを日本の国際協力NGO団体の平均と比較してみたいと思います。

外務省が日本のNGO団体308団体を対象に行った調査によると、年間支出額は以下の通りです。

外務省・JANIC「NGOデータブック2016」

2015年のデータを見ると、支出の約55%を海外事業費に、約19%を国内事業費に充てています。事業費全体の支出額を合計すると約86%となるため、割合としてはワールド・ビジョンと大きな差はありません。

つまり、割合に着目すると、ワールド・ビジョンがお金を支援活動に充てず、広告費や人件費に多く充てているわけではないということが分かります。

ただ、年間の支出額が莫大な規模であるために、金額を見るとその多くを人件費や広告費に多くの割合を割いているように錯覚してしまうのです。

また、広告費や人件費にお金を使うこと自体は、決して悪いことではありません。

より多くの支援を行うためにより多くの寄付が必要であり、そのためには強い発信力が必要であり、集まった資金をより効果的・効率的に支援が必要な人々に届けるためには、多くの優秀な人材が必要だからです。

チャイスポ経験者が感じた確かな寄付の実感

続いて、ワールド・ビジョンへのポジティブな評判についても検証していきます。

ワールド・ビジョンが行うチャイルド・スポンサーシップの魅力として、実際に支援を行う子どもたちと交流ができる点を挙げる方が多いです。

チャイルド・スポンサーシップに参加すると、チャイルドと呼ばれる支援地域に暮らす子どもを紹介されます。

その後、誕生日やクリスマスなどにこちらからチャイルド手紙を送ることで交流ができるほか、実際に現地に足を運び、チャイルドに会い、彼らが住む地域を見学できるツアーも企画されています。

実は、私の妻も長年チャイルド・スポンサーシップに参加しており、手紙でやり取りしている様子を間近で見ていました。

手紙の相手が子どもということもあり、難しい英語を使う必要が無いですし、日本語で手紙を書いてもスタッフが翻訳して届けてくれるそうです。

また、手紙の書き方や、手紙キットを用意してくれるため、それに従って書けばそれほど時間がかからず、最近では「Eレター」といってWEB上でレターを作成することもできるので、誰でも続けられるようです。

したがって、実際に手紙などで直接支援が届けられる人とつながることができることは本当です。さらには、それらを通じて寄付の実感を感じることが出来、楽しく寄付が出来ている人も多いようですね。

ちなみに、私の妻が支援していたチャイルドは、何年か支援を続けたのち、「チャイルドが支援が必要な状態から脱した」という連絡がワールド・ビジョンから届き、そのタイミングを区切りに一旦支援を卒業しました。

その際、別のチャイルドの支援を新たに始めてはどうですか、といった提案もあったようですが、決して無理強いするような聞き方ではなく、支援者の判断に任せている感じだったようで、特段嫌な気持ちにはならなかったそうですよ。

1人の子どもとつながる支援プログラム

寄付で失敗したくない人は次の3つを確認

最後に、ワールド・ビジョンに限らず、どこかの団体に寄付をしたいと考えている方で、寄付の経験が少なく、「どの団体に寄付すればよいか分からない」、「寄付で失敗したくない」と悩んでいる方は、次の3つのポイントを参考に寄付先を決めてみてはいかがでしょうか。

まずはホームページを確認

その団体を知るために最も手っ取り早い方法がホームページをチェックすることです。

団体のホームページを持っていないのは論外ですが、しっかりとした見やすいホームページを持っているということは、それだけで自分達に活動をきちんと報告しようという姿勢が表れます。

ホームページでは特に以下の2つについて確認してみましょう。

  • 更新頻度の高さ
  • 会計報告書の有無

トップページで更新情報が確認でき、その頻度が最低でも月1回は更新されているかをチェックしましょう。

自分が寄付をしようとしている団体が十分なアカウンタビリティーを果たしているかどうかの判断材料の一つにすることができます。

また集めた寄付金がどのように使われているかを示す会計報告書がホームページ上で公表されているかも確認しましょう。

時間がある方は中身まで見るとさらに団体のことを知ることができますが、きちんとした報告書を毎年公開しているだけでも信頼できる団体かどうかの判断材料にすることができます。

法人格を確認する

最初に言っておきたいのは、法人格の有無や種類で団体を評価することはできないということです。

NGO団体の多くは、NPO法人または一般社団法人の法人格を有しています。

しかし、これらは必要なお金やきちんとした書類を揃えれば、基本的にはどんな団体でも取得できます。

逆に言えば、これらの法人格の取得のために、団体が行う活動内容はほとんど影響しないということです。

しかし、法人格の中には、その団体が行っている活動が一定の基準を満たしていないと得ることができない法人格があります。

それが、「認定NPO法人」と「公益社団法人」です。

例えば、認定NPO法人になるための条件の一つには、「寄附金の額の総額が3,000円以上である寄附者の数が、年平均100人以上であること」があります。

つまり、認定NPO法人を取得している団体は、多くの寄付者から一定の寄付金を毎年集めている団体である証と見ることができます。

ただ、はじめにも言ったように、「認定NPO法人」だから「よい団体」というわけではないので、あくまで参考程度にするようにしてください。

\NGOについて詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ/

NGOとNPOの違いとは?一般社団法人も解説【国際協力団体の設立】

自分が問題意識を持っていることは何か

「寄付」という行為は、言わば「投資」です。

NGO団体は、社会にある何らかの問題を解決するために活動しています。

その団体にお金を託し、そのリターンはあなたが望むよりよい社会です。

では、あなたはどんな社会になることを望んでいますか?

そのためには、誰のどんな問題が解決されるべきと考えますか?

自分自身の問題意識の「解像度」を上げることこそ、寄付先を決める第一歩かも知れません。

少し難しいと思う方は、自分の身の周りからまずは考えてみましょう。

自分、または自分の周りに困っている人はいないか?

その人はなぜ困っているのか?

同じような人が世の中にたくさんいるのか?

家族など自分の大切な人が暮らす世界はどんな世界であってほしいか?

このようなに、自分の身近なことから考えていくことで、自分の問題意識というものがクリアになってくるかもしれません。

さいごに

今回は、ワールド・ビジョンの評判、その検証、そして寄付先を選ぶポイントまでお話ししました。

これまで寄付をあまりしたことが無かった人にとっては、寄付をするという行為はとても勇気がいることかもしれません。

ただ、色々な情報を調べて疑心暗鬼になるよりも、一度思い切って寄付をしてみることをおすすめします。

寄付の経験は、きっとあなたにとって、人生をちょっと豊かにするきっかけになるはずです。

重要なことは、寄付に対して、物を購入したり、サービスを受けるなどの「消費」という考えを捨てることです。

寄付は等価交換ではありません。

寄付はあくまで世の中のお金の流れを変える手段、すなわち社会への「投資」です。

そして社会を変える第一歩なのです。

あなたにとって良い寄付先が見つかりますように。。

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さもあき

国際協力NGOルマナイサモア所属
サモアを愛する国際協力師
2020年7月よりサモアで算数・数学教育の新たなプロジェクトをスタート予定。「教育で人と世界をつなぐ」をモットーにサモアと日本の学校をつなぐプロジェクト進行中。ライターとして教育・国際協力の記事も執筆。

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