サモアの伝統的住居であるオープンファレ。
その構造は、私たちが想像する「住居」とはかなりかけ離れたものです。
その最大の特徴が「壁がない」なところ。
「壁がない/オープン」という表現は、比喩的表現として人に対して誉め言葉として使うことはあっても、
住居に対して使うことはまずありませんし、あったとしたらかなり悲惨な状況です。
しかし、サモアでは住居に対して、物理的に「壁がない」と表現します。
この記事では、
- オープンファレとは何か
- オープンファレの役割
- 旅行客も泊まれるビーチファレの紹介
について説明していきます。
住居から垣間見えるサモア独特の文化をお楽しみください。
サモアのオープンファレとは
ファレ(Fale)とは、サモア語で「家、建物」の意味を表す言葉です。
サモアにある建物はすべてファレと呼べるのですが、この記事ではサモアに昔からある伝統的な建物であるオープンファレを紹介します。
オープンファレの特徴
オープンファレの特徴は大きく3つあります。
- 壁がない
- 柱と屋根だけでできている
- 基本的にワンルーム
とくに1つ目の「壁がない」というのが最大の特徴と言えます。
なぜサモアの家に壁がないのか、この理由については正確なことは分かりません。
サモア人に聞いても皆バラバラな回答ですが、その中でも私が「確かに」と腑に落ちたものを紹介します。
- 熱帯気候で高温多湿のため、風通しを良くし、快適に過ごすため
- サイクロンが多いため、被害にあってもすぐに作り直せるように
- サモアは村の中での隣人通しの結びつきが強いため、誰が訪問してきてもすぐに歓迎し迎え入れるため
最初の2つの理由はある意味、合理的で理にかなっているなと感じる一方で、やはりサモアらしさを感じるのは、3番目の理由です。
とにかく、サモアは誰が来ても喜んで歓迎する文化、よそ者を受け入れる文化。
そのおもてなし文化が、建物の構造にまで現れているというのは、面白いですよね。
ちなみに、雨風が強いときは、天井に仕込んであるバナナの葉っぱでできたブラインドのようなものを広げ、柱と柱の間に簡易的な壁を作って防ぎます。
ただ最近はバナナの葉っぱではなくビニールシートになってきています。
オープンファレの役割
オープンファレの中でも大きいものを「ファレタリマロウ」、小さいものを「ファレオオ」と呼びます。
どちらもは「住居」として使うほかに、様々な役割を持っています。
① 公民館としての役割
昼間のオープンファレ、とくに大きい方の「ファレタリマロウ」は、村の公民館としての機能があります。
昼間は村の首長・マタイが集まって重要な会議をおこなったり、
女性陣が集まって工芸品などを作る作業をしたり、若者が集まって歌やダンスの練習したりする場所としても使われています。
② 村人の憩いの場
オープンファレの中には、人が住んでいないファレもたくさんあります。
そのようなファレの中では、子どもが走り回って遊んでいたり、小さいファレでは女性たちが井戸端会議をしていたり、はたまたおっちゃんが上半身裸でお昼寝していたり...
村人の安らぎの場としても使われているのです。
また、サモアは雨が急にスコールのように降ることがあります。
サモア人は基本的に傘を持っていないことが多いので、降り始めたら近くのオープンファレに勝手に上がり込んで雨が止むのを待ちます。
全然知らない人のファレでもお構いなしです。むしろ入るのを躊躇してると、「こっち来なさい!」って半ば強制的に連れていかれます。
サモアのこういうところが大好きです。
③ 夜はギャンブル場に
夜になると、多くの人が集まって熱狂しているオープンファレをたまに見かけます。
中で行われているのは、「BINGO」
そうです、日本の忘年会でもおなじみのあのビンゴゲームです。
サモアでは、しばしば夜にビンゴ大会が行われ、それが賭け事になっています。
ビンゴカードを購入し、あとはおなじみのルールで進んでいき、早く複数列のビンゴが揃った人から商品をゲットできるというもの。
サモアのビンゴのとくに面白い点が、
- ビンゴカードは1人複数枚購入可能
- ビンゴの商品は、食料品や日用品
- 参加者の9割以上が女性(主に40代50代)
おばちゃんたちが夜な夜なファレに集まって、一人で何枚ものカードを床に並べ、真剣な顔でアナウンスされた数字を探し、一喜一憂する姿が見れるのはサモアだけですよ!
絶対に泊まってほしい宿泊施設「ビーチファレ」
サモアの伝統的なオープンファレは、私たち旅行客でも利用することができます。
とくに、海沿いのビーチに宿泊用のファレが並んだ宿泊施設「ビーチファレ」は、サモアに来たら絶対に泊まるべきです!
村にあるサモア人が日常生活で使っているファレとは違い、6畳程度の小さなファレにマットレスと蚊帳があるだけ。
静かなビーチで波の音を聞き、心地よい風に吹かれながら眠るビーチファレの夜は、控えめに言っても最高です。
おすすめのビーチファレ3選
次に、私が実際に泊まったお気に入りのビーチファレを3つ紹介したいと思います。
マタレバ ビーチファレ Mataleva beach fales
タウフア ビーチファレ Taufua beach fales
タヌ ビーチファレ Tanu beach fale
さいごに
いかがだったでしょうか?
サモアの伝統家屋ファレ、
この「壁のない家」という存在そのものが、まさにサモアの誰でも分け隔てなく受け入れる寛容な文化を象徴していると思います。
ファレだけでなく、人も文化もオープンなサモア
世界最高の解放感をサモアで味わってみてはいかがでしょうか?